■ラブラドール・レトリーバー
Labrador Retriever
■ラブラドール・レトリーバーの紹介
ラブラドール・レトリーバーは、カナダのラブラドール半島やニューファンドランド島の海岸で漁網や魚を運搬する犬だったと言われています。19世紀になってからイギリスに渡り、泳ぎが上手なことと、打ち落とした獲物を回収する能力の高さによって、たちまち優秀な鳥猟犬として普及していきました。1887年に、マームズベリ伯爵がこの名前を付け、1903年にイギリス・ケンネル・クラブで公認されました。
泳ぎが上手で仕事を与えられることを好むため、現在では盲導犬や警察犬、救助犬として広く活躍しています。また、その優しく忠実な性格が好まれ、家庭犬としても人気が高い犬種です。特に鼻を使っての捜索作業の能力は素晴らしく、服従心も抜群ですが、性格がきわめて穏和であるため、絶対強制訓練には不向きで、番犬、ガードドッグには適さないようです。
ラブラドール・レトリーバーは無駄吠え、攻撃性、反抗性が共に低いので女性や子供でも充分に扱える家庭向きで丈夫な犬種です。体格は大きいですが室内で飼育される例が多いのも特徴です。毛色はブラック、チョコレート、イエローなどがあります。原産地である英国内での人気は不動で、数年来、出産頭数で1位を堅持しています。さらに米国内でも2位に3倍近くの差をつけて絶対的な首位にあり、現在世界で最も飼育頭数の多い犬種と推定されています。
■ラブラドール・レトリーバーの歴史
16 世紀ごろ、北アメリカ沿岸へ出漁したヨーロッパの漁船に同乗して、カナダのラブラドール半島に渡った犬が祖先とされていますが、そのルーツは定かではありません。ラブラドール・レトリーバーは長い年月を極寒の地の海辺で過ごし、海中に流された漁網を探したり、網からこぼれた魚を回収する作業犬として飼育された歴史を持っています。この中型サイズで短い被毛に包まれた黒い犬は、獲物を回収するだけにとどまらず、水の中に入って魚を取ってきたり、時には氷が張っている水にまで飛び込んで小さな漁船を引っ張ったりと、泳ぐことが必要な仕事であればどんなことでもこなせる犬として、漁師に重宝がられていました。
それが1800年代に入り、ニューファンドランド島から塩ダラ運搬船に乗ってイギリスへ
渡ったことがきっかけとなり、ヨーロッパに紹介され改良されていきました。当初は性格も頑固でしたが、1880年ごろから従順で訓練性の高い犬に変えられ、運搬犬、警察犬としても利用されるようになっていきました。今日では盲導犬としてその活躍の場が広がっていますが、家庭犬としても強い人気を得ています。
ラブラドール・レトリーバーは現在、世界で最も多く飼育されていると想定される大変人気のある犬種です。イギリスで優秀な鳥猟犬として高い評価を得て、人々の支持を集めるようになりました。1903年、KCがラブラドール・レトリーバーを認定、AKCも1917年に犬種認定をしました。
19世紀初頭にはさまざまなサイズのニューファンドランド犬がいましがなかでも、レッサー・ニューファンドランドやセント・ジョンズ・ニューファンドランドといった犬たちは、現在のラブラドール・レトリーバーの原型といわれています。
初めの頃は、繁殖家たちの間で黒い毛色の人気が高く、イエロー色やチョコレート色のは、
間引きの対象となっていました。20世紀初期には黒い毛色以外の毛色も受け入れるようになっていましたが、やはり、黒い毛色ほどの人気は得られませんでした。
■ラブラドール・レトリーバーの特徴
ラブラドール・レトリーバーは体長が体高よりも少し長い、体型で、骨太でしっかりとした肉付きのよい体つきをしています。この犬種は、横幅の広い頭部と、力強い顎を持ち合わせているため、カナダガン(北米に生息するガン)のような、非常に大きな獲物も、やすやすと回収することができます。また、どっしりとした体つきと、しっかりした力強い四肢を使って、パワフルに泳いだり、走ったりすることができます。
どんな天候の中でもうまく機能する被毛は短くまっすぐで、柔らかい下毛が密集しています。そのため、凍りついた冷たい水の中でも、体温をしっかり守ります。よく働く回収犬であるラブラドール・レトリーバーは、ほどよく洗練された上品さと、とても扱いやすい従順な性質を持ち合わせています。
■ラブラドール・レトリーバーの性格
ラブラドール・レトリーバーはとても利口で、飼主のいうことをよく聞く非常に賢い犬種です。性格は好奇心旺盛で活動的、さらに社交性の高い犬種でもあります。人の役に立つことが大好きで、とても献身的な精神をもっており、家族には深い愛情を示してくれるでしょう。子供たちとはもちろん、他の犬や他のペットたちとも仲よくできる犬種です。1日のうちに、落ち着いた室内犬になったり、遊び好きな室外犬になったり、また、熱心な競技犬になることもできる素晴らしく能力の高い犬です。
ラブラドールはほかのレトリーバー種に比べて、少しやんちゃな面があるので幼犬期からのしつけが必要です。盲導犬や捜査・救助犬などとして活躍するだけの能力をもちあわせているだけに、家庭犬としてのしつけも簡単にこなしてくれるでしょう。
ラブラドール・レトリーバーは泳ぐこと、何かを取ってくる回収作業を得意とする犬種です。運搬が得意でおもちゃ等を執着して放しません。すこぶるやんちゃで飽き知らずのため、スポーツに向いています。水が大好きなので雨の日は特に元気になるかもしれません。
叱っても効果がないので褒めて育てましょう。褒めてあげるとグングン伸びるタイプです。
■ラブラドール・レトリーバーの毛色
ラブラドール・レトリーバーは全身に短い被毛が密集していて、水を油のように弾きます。
毛色はブラック、イエロー、レバー、チョコレートの単色で、ブラックは胸の小さな白い斑は許容されています。また、イエローはクリームからレッド・フォックスまで、幅広い色が存在します。
■ラブラドール・レトリーバーの飼育
ラブラドール・レトリーバーの滑らかで短い二層の被毛は手入れも簡単ですが、ブラッシングは毎日するのが理想です。体の汚れを感じたら、固く絞ったタオルか適温の蒸しタオルで全体を拭いてからブラッシングしてください。シャンプーは1ヵ月に1度程度のペースで、体全体をぬるま湯のシャワーで濡らし、マッサージするように洗ってよくすすぎ、リンス後に再びしっかりすすいであげてください。乾かすときは、まずタオルで十分に水気をとってから、ドライヤーで乾燥させましょう。また、定期的な耳そうじもしてあげてください。
ラブラドール・レトリーバーは活発な犬なので、訓練を兼ねた運動を十分に行ってください。泳がせたり、何かを取って来たりする運動をさせるとよいでしょう。しかし、股関節の弱い事が多いので長時間のお散歩や無理な運動は控えましょう。また、肥満は股関節や背骨、肘などに負担をかけるので注意が必要です。
温暖な地域であれば、屋外で飼育できますが、できれば室内で家族と一緒に過ごさせる方がよいでしょう。
■ラブラドール・レトリーバー健康上の注意点
ラブラドール・レトリーバーは運動量がとても豊富な犬種です。毎日欠かさずに十分な運動させてあげてください。年齢や季節、体調等に応じて時間や距離といった内容も変わってきますが、一般的に毎日30分?1時間くらいの引き運動を2、3回と庭先などで行う10?20分程度の自由運動を組み合わせてあげれば良いでしょう。ラブラドール・レトリーバーは水泳も得意なので、水遊びをさせてあげるのも良いかもしれません。ただ、暑さに弱い面があるので夏期の運動は早朝か夜遅くに行うようにしてあげてください。日没直後などはアスファルトに熱が残るのでその時間帯は避けた方が良いでしょう。
食事は、若犬から成犬なら1日1、2回が目安です。内容は歯の健康にもよいドライフードをベースに、肉や内臓類を煮たタンパク質、乾燥小魚、チーズなどのカルシウム、ごはん、パンなどの穀類、犬の好む缶詰フードなどを加えた混合食が望ましいでしょう。栄養のバランスに気をつけてください。過食やカロリー過多による肥満には注意しましょう。また、肘や股の関節の形成不全がおきやすいといわれています。各種の眼病にも注意してください。
■寿命
10ー12歳