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■プードル
Poodle

プードルの紹介
プードルは、もともとはカモ猟などで活躍していた狩猟犬でした。フランスではこのカモ狩りの能力にあやかって「chien canard(カモ犬)」、それが変化した「caniche」などと呼ばれていました。プードルのあの独特のトリミングは、水に入ったときに毛が水分を含んで重くならないよう、毛を剃ったことが始まりだと言われています。胸と脚に毛を残すのは、冷たい水から心臓と関節を守るためなのです。

プードルはヨーロッパ各地のウォータードッグと近縁とされ、水泳が得意で、水辺のリトリバー犬としての性能がとても高い猟犬として使用されていました。現在プードルをドッグショーに出陳する際には、ショークリップと言われるカットスタイルが決められていますが、これは水猟犬時代の習慣に由来しています。足の関節回りには被毛が残されたカットスタイルは、保護のためというよりはどちらかというと装飾的なものであったと考えられています。実際、この刈り残しは、サーカスに出演していた時期に行なわれ始めたという有力な証拠もあるようです。

プードルの被毛を規定のスタイルにカットする技法がいわゆる犬のトリミング技法の基本になってます。一般にトリマーと呼ばれる職業は、プードルのカット技術を学ぶ事で資格を与えられる事になっているのです。

プードルは過去も現在も非常にトレーニングしやすい犬として知られています。
聡明な犬であり、四肢が強靭な事もあってサーカスで多用される事となりました。
        
そして現在、プードルが家庭犬・愛玩犬として非常に高い人気を維持しているのには明確な理由があります。大型、中型、小型とあらゆるサイズがそろっており、警備から愛玩までいかなる飼育目的や飼育環境にもサイズで適応する事ができるのもその一因でしょう。また、多くの被毛色があるのでいかなる飼育者の好みにも合う色を選ぶ事ができるので、おしゃれなカットを楽しむ事もできるし、子羊の姿のまま飼育する事もできます。さらにこの犬種はサイズによる性格の差が無く、聡明で、学習能力がひときわ優秀であることも大きな特徴です。


プードルの歴史
プードルはフレンチ・プードル、フランスの国犬とも呼ばれ、原産地はフランスと言われる事が多いですが、実際には世界中の多くの地域でかなり古い時代から存在が確認されていたようです。

プードルはドイツからフランスに渡ったと考えるのが妥当とされており、ロシアが原産との説すらあります。犬種名プードルはドイツ語の「プーデル(水たまり)」が語源で、これは水中で泳ぐさま等を表わしている語です。プードルはイギリスでは古くからトリュフ掘りに使用されていたと言われ、プードルが嗅覚によってトリュフを発見すると、仕事仲間のダックスフンドがそれを掘り出していました。当時トリュフ掘りは犬に与えられた重要な仕事で、プードルのこの特技はスペインやドイツにも輸出されました。夜間のトリュフ掘りでも犬の居所が分かるよう、ホワイトのプードルが作出されたとも言われています。しかし、奇妙な事にトリュフ掘りに使われた小型のプードルに限っては、水に入る事を恐れたとの記録があるようです。

プードルは優雅な愛玩犬として、流行に敏感な女性たちから支持されるようになりました。
フランスの貴族たちから人気を集め、遂にはフランスの国犬とまでなりました。特徴的だった被毛の刈り込みはさらに強調され、より小さいプードルを生み出す動きも出始めました。
19世紀末になると、プードルはショーに出されるようになり、最初はブラッシングをせず、
被毛を自然にからませた状態のままで出されていました。人目を引くには成功しましたがあまりに手入れが大変だったため、20世紀前半には淘汰されました。代わって登場したのが現在もっとも主流となっている「ブッファンスタイル(逆毛を立ててふくらませ、高さをつけた髪型)」でした。

その頃アメリカでのプードル人気は下降気味で、特に北アメリカでは1920年後半、絶滅の危機にまで追いやられました。その後、1930年代には人気が持ち直し、現在に至ってようやく、人気のある犬種としてその名を連ねることになりました。

現在、プードルは3つのサイズに分類され、大きいものからスタンダード・プードル、ミニチュア・プードル、トイ・プードルと呼ばれます。なかでもトイ・プードルは近年爆発的な人気を誇り、毎年人気犬種ランキングの上位をキープしています。

トイ・プードル程毛色による評価が変化する犬種も珍しいでしょう。一時期シルバー色の大流行があり、その後ブラック人気が続いていました。ところが近年、日本では「テディベアカット」と呼ばれるカットスタイルが流行したために、このスタイルが似合う茶系統の被毛色のプードルに人気が集中し、他の色の数倍もの値段で取り引きされているのが現状です。


プードルの特徴
プードルはバランスのとれた正方形に近い体型のもち主で、適度に力強い筋肉をもっています。気品の漂う容姿は、慣例のクリップによって、より洗練された美しさが表現されています。頭蓋は適度に丸く、頬骨と頬の筋肉は平ら。鼻吻部はまっすぐで長く、目の下にはわずかな彫りが見られ、唇は引き締まっています。目はアーモンド型で、適度に離れている。豊富な飾り毛に隠れた耳は肉厚で、長くまた幅広く、付け根は目の高さかそれよりやや低めで垂れています。

堂々とした身のこなしと優雅な容姿を持ち合わせ、バネのような軽やかな動きをしています。水辺で猟師が打ち落とした鳥を回収するために使われていたので、体の構造はその時の役割を反映した造りとなっています。

被毛はクルクルとカールしており、粗く、密集しています。伝統的な被毛の刈り込み方は、
狩りでの機能を重視し、胸と関節を保護するために編み出されたものです。


プードルの性格
プードルは非常に賢く、飼いやすい犬種といえます。しつけや訓練も楽しみながら、教えられたことを積極的に吸収していきます。従順で忠実。飼い主の家族にもよくなつき、来客に対する態度は、愛想も振りまかないが威嚇することもありません。ほかの犬に対しても寛容で、トラブルを起こすようなこともまずないでしょう。ただし利口な分だけいたずらも好きな面もあるので、その点には注意が必要です。活発で散歩好きで、訓練が行き届いていれば、広場でリードを外しても、どこかにいってしまうようなことはないでしょう。呼べばきちんと戻ってきてくれます。

プードルはとても利口で飼主の言うことをよく聞きます。数多くいる犬種の中でももっともしつけのしやすいと犬種と言えるでしょう。また、プードルは自立心が強く、思考力にも長けています。飼い主に対しては愛情深く、いつも飼い主を喜ばせようとします。しかし、知能が高い故に人が言いなりになり易く、気付いたら咬み犬になっていたという事もあるので注意が必要です。


プードルの飼育
比較的硬い巻き毛が豊富に密生するため、入念な手入れが必要です。プードル特有の優美な姿を維持するには月1回程度のトリミングが必要となりますが、家庭犬の場合は短い刈り込みにしておいた方が手入れは楽になります。固い巻き毛がもつれやすいので、日常的にブラッシングとコーミングを丁寧に行います。その際クリップで露出した皮膚を傷めないように十分注意してください。白い毛は涙やけしないようにマメに拭きましょう。しかしプードルは犬の中で最も抜け毛や皮膚病などが少ないのも特徴です。ツメは常に短く保ち、週に1度は歯ブラシで歯を磨き、綿棒などで耳掃除するなど、被毛の管理以外の手入れも必要です。細かな手入れに関しては専門家から直接指導を受けるのが最も望ましいと思います。優雅な姿を保つためのトリミングのコストは多少かかってしまいますが、性格や身体能力的にも優れたこの犬種はきっと素敵な家族の一員となってくれるはずです。

プードルには人との交流が欠かせません。毎日知的な遊びを取り入れて、肉体的にもたっぷり運動させてやることが大切です。軽めの散歩や室内でゲームなどをさせてあげましょう。庭などに出してもいいですが、屋外で飼えるような犬種ではありません。


プードルの毛色
プードルの毛色は、きれいな単色であることが理想とされています。以下はその代表的な毛色になります。黒、白、ブルー、ブラウン、アプリコット、クリーム(オレンジ)、シルバー、シルバー・ベージュなどのほか、同じ色で濃淡をもつものがあります。


■健康上の注意点
運動量としては室内や庭先での運動だけでも十分ですが、犬は当然散歩に出かけることを好みます。そのため1日1回はできれば外に連れ出し、周辺を散歩させたり、安全な場所で自由に運動させてあげると良いでしょう。遊び好きで利口なので、一緒に遊べば喜ぶし、辛抱強く教えれば、芸を覚えさせることも可能です。

食事は若犬から成犬なら朝夕2回与え、新鮮な水を常備してください。
内容に関しては、栄養バランスのとれた小型犬用ドライフードで十分です。

嗜好性を加味したいならば、ドライフードを基本に全体量の2割程度の缶詰フードを混ぜた混合食が手軽でお勧めです。味が濃い人間の食べものや偏食は、不健康のもとになります。また常に健康状態を観察して、下痢や肥満の兆候がみられたら、すみやかに対処してください。膝蓋骨の脱臼に注意するほか、遺伝的な眼病などにも気を配るようにすると良いでしょう。トイプードルは活動的ですが足が細く華奢なので、骨折には注意が必要です。


■気をつけたい病気
・皮膚疾患 ・膝蓋骨脱臼 ・てんかん ・白内障 ・停留睾丸 ・眼瞼内反症


■寿命     12ー14歳

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