■ヨークシャー・テリア
Yorkshire Terrier
■ヨークシャー・テリアの紹介
ヨークシャー・テリアは1800年代初頭にテリア系の小型犬とマルチーズなどの混血により作出された比較的新しい犬種で、一般家庭で飼育されるようになったのは原産国イギリスに於いても戦後の事でした。一般には「ヨーキー」の愛称で呼ばれる、このヨークシャー・テリアは19世紀中頃、イギリス中部のヨークシャー地方で誕生したと言われています。スカイ・テリアやマルチーズなどを交配させた結果、今のスタイルが形作られました。
被毛の美しい小型テリアの完成により、その後は一躍愛玩犬として注目を集めるようになりました。「動く宝石」とも形容され、主に富裕層のペットとして大流行しました。以来、婦人の抱き犬として人気が高く、世界中で最も知名度の高い犬種として定着しています。
ヨークシャー・テリアの被毛は長さが貴ばれた時代があり、ひきずるように伸ばされていましたが、近年は地面に達する程度でカットされています。当時は爪で掻いて被毛を痛めないよう肢に靴を履かせる習慣があったようです。他の犬種に比べ、被毛の良否(毛量・毛質・長さ・色調)がきわめて重要視されます。
ヨークシャー・テリアは生後2?3ヵ月までの被毛は黒く、3?4ヵ月頃から頭部が砂色を経て褐色になり始めます。ボディの被毛がスティール・ブルーに変わるには1年以上を要し、成犬になると長く真直ぐな被毛が体の両側に垂れ、毛の分け目は鼻から尾先まで続くようになります。また、ヨーロッパのドッグショーではこのヨークシャー・テリアに限り特別な台に乗せて被毛を評価する習慣があります。
ヨークシャー・テリアはサイズや外貌からアクセサリー的愛玩犬と思われがちですが、テリア気質は健在で、活気と自尊心にあふれたきわめてエネルギッシュな犬です。また、「目で話す犬」と言われるように表情豊かで明るく、知的で感覚鋭敏、気品を備えコンパクトで堂々とした風格を持ち体高と背線の長さが同じ位で外見のバランスがとても良いです。日本では皇太子妃の実家で飼育されていた事により、一時的に人気を呼び、流通価格が高騰した事があります。
■ヨークシャー・テリアの歴史
ヨークシャー・テリアは19世紀中頃、イギリスのヨークシャー地方で家屋を荒らすネズミの被害が多かった時期に、工員や炭鉱夫たちがネズミ捕りのために作出したのがはじまりと言われています。ヨークシャー・テリアは綿密な計画のもと、ウォーターサイド・テリアやクライデスデール・テリア、ペイズリー・テリア、さらに、スカイ・テリアやダンディ・ディンモント・テリア、マルチーズまでもを含めたさまざまなテリア種を交配して作られたものと考えれらています。そしてその中でも、ウォーターサイド・テリアが一番影響の大きい
祖先犬だと思われます。この犬種は、スコットランドから織工たちによって持ち込まれた犬で、青っぽいグレーの美しい長毛で覆われた、体重10ポンド(約4.5kg)前後の小型の犬でした。
このようなあまり華々しくない生い立ちのために、当時ヨークシャー・テリアは裕福な愛犬家たちから見下されていました。しかし、上流階級の人々の多くが、ヨークシャー・テリアの美しさを目の当たりにして注目し、ヨークシャー・テリアはたちまちショーの人気者となっていきます。そうして次第に裕福な婦人たちに絶大な人気を誇る愛玩犬となりました。
1880年頃、ヨークシャー・テリアはアメリカに持ち込まれましたが、さまざまなサイズの犬が持ち込まれたために、ヨークシャー・テリアの基準となるサイズが統一されず、混乱した状態となりました。この頃のヨークシャー・テリアには、体重が12?14ポンド(約5.4?6.3kg)ほどあったものが多かったようです。
1900年頃になると、大西洋をはさんでイギリスとアメリカ両国の愛犬家たちは、より小さなサイズのヨークシャー・テリアを作り出すことで一致団結し、長い被毛で覆われた小型サイズのヨークシャー・テリアを作るためにさまざまな挑戦が行われました。
その努力が報われ、現在のヨークシャー・テリアは、小さく、もっとも豪奢な被毛をたたえた犬種のひとつとなりました。テリアの血統を引く、これらの特色によって、ヨークシャー・テリアは、現在も飼い主たちやショー愛好家たちの人気者として確固とした地位を獲得しています。
■ヨークシャー・テリアの特徴
ヨークシャー・テリアは、知的な表情や誇らしげな動き、コンパクトな体型といったテリアらしさを、その姿から性質まで継承した犬種です。しかし、今では、テリア種というよりも、まっすぐに伸びた、長くてつやのある美しい絹のような被毛に覆われた犬として知られています。被毛の色であるダーク・スチール・ブルーとはっきりしたタンは、この犬種の大きな特徴といえるでしょう。 可愛らしい顔立ちに、引き締まった体で軽快に歩く様子は、知的で気品に溢れています。
■ヨークシャー・テリアの性格
ヨークシャー・テリアは警戒心が強く、負けん気があり活発な典型的テリア気質の持ち主で、いつもエネルギッシュに活動します。冒険が大好きで、小柄なわりにはいつも何か事件を起こすほどエネルギッシュな犬種です。また、忍耐力があり利口なため、しつけ次第で心強いパートナーになるでしょう。飼い主に対しては愛情深く、じゃれついてくることもしばしば。子供の遊び相手に向く犬種といえます。また、自分のテリトリーをしっかりと守ろうとするので、番犬としても適しています。吠え癖を持った犬も少なくありませんが、これはトレーニングによって直すことができます。
ヨークシャー・テリアはネズミ捕り用にどこでも持ち歩けるようにと作りだされました。その為小さくても捕食性本能は強く、少々キツイ性格です。すこぶる活発だった犬を神経質な大人しい犬に改良しようとしましたが、そうなった犬は少ないようです。良くも悪くも頑固ですから、容姿にだまされて甘やかしてしまうと大変な事になります。
■ヨークシャー・テリアの毛色
ヨークシャー・テリアは、子犬の時はブラック&タンで覆われていますが、成長とともに毛色が変化していきます。生後6?12ヶ月頃には、ダーク・スチール・ブルーに変わり、そのご毛色は落ち着きます。
■ヨークシャー・テリアの飼育
ヨークシャー・テリアは小さくても強情で負けん気が強い性格なので、しっかりしつけをしましょう。また、小型化によって歯肉や気管の病気が問題視されています。歯の健康管理には特に注意してください。被毛は艶やかで細く、本来は長く伸ばしてフルコートに保ちますが、短くカットしてもかまいません。伸びる毛質のため、抜け毛は少ない方です。
ヨークシャー・テリアは室内犬なので、屋外で飼うことはおすすめしません。甘やかせて育てると自分勝手な犬になってしまうので、しつけはしっかりするようにしましょう。家の中を活発に動き回るので、それだけでも十分な運動になりますが、軽めの運動やゲーム遊びを取り入れてあげるとより良いでしょう。
長い被毛は毎日ブラッシングしてあげて下さい。本格的に管理してその美しさを保とうとするならば、くしやブラシ、専用の被毛用オイル、シャンプーやトリートメントなど複数の用具を揃えなくてはなりません。また保温や保湿から日焼け予防、食事にいたるまで徹底した管理が必要で、ショードッグならばさらにラッピングと呼ばれるセットアップなど、専門家のアドバイスによる入念な手入れも必要となってきます。家庭犬としても、運動後のグルーミングと定期的なトリミングはした方がよいでしょう。伸びやすい爪は、定期的に切るようにしてください。洗った後はよくすすぎ、水気を十分に取ってから毛並みにそってピンブラシで整え、ドライヤーで十分に乾かしてください。
■ヨークシャー・テリア健康上の注意点
寒さには弱い犬種なので、冬の寒い時期はガウンを着せるなどの保温対策は忘れないようにしてください。また、比較的歯が弱いので、歯の健康管理に注意を払うことが大切です。健康状態に応じた、適量の食事を朝夕2度与え、冬季には栄養バランスのとれたフードを中心に与えるましょう。運動不足からくる肥満にも注意してください。
■寿命
14-16歳